埃だらけのヴィンテージボックス
25歳で結婚した。
26歳で出産した。
27歳のわたしはあと2ヶ月も経てば28歳になる。
周りはまだまだ恋愛を謳歌している。
羨ましくはない。いや、ちょっぴり羨ましい。
今思えば、もっといろんな経験をしてもよかったんじゃないかとは思う。
もっとも経験がないわけではないけれど。
初恋は幼稚園の頃。ぽっちゃりとした色白の男の子だった。
小学校に上がるとその男の子はいなくて、あぁあの子にはもう会えないのかと残念に思った。
次に好きになった人は中3の頃。
所謂モテる人ですごく人気があった。
わたしには手の届かない存在だと思い込み、好きにならなかった。
のに、好かれた。
もちろん、この2人以外にも好きになった人はいたし、付き合った人も何人かいる。
でもわたしの中で、本当に好きだったのはこの2人だけ。
わたしが結婚したのは前者、初恋の人だ。
幼稚園のたった2年の間に好きになってそこから疎遠。
SNSの発達した時代に生まれてよかったと初めて思ったのはこの時だ。
23歳の誕生日、彼からメッセージが来たのだから(もちろん彼はわたしが誕生日だとは知らないし、この誕生日は大きな人生の分岐点だった)。
トントン拍子とはよく言ったものだ。
振り返るとすんなり結婚までたどり着いたのかもしれない。
まぁこれはおいおい書いていこう。
好きな人と結婚をして、子供まで授かった。
何も不満はない。
それでも忘れられない人はいる。
初恋の男の子、つまり主人と再会するまでの約10年間は、ずっと中3の彼に恋焦がれていたのだから。
中3の彼がふと夢に出てきたもんだから、鍵をかけたはずの箱がまた開いてしまった。
次はいつ鍵がかかるのだろう。